竜王様のお約束

三人掛けくらいであろうハクリュウが座るソファーは、たいそう立派で大きな物だ。しかし、2m近い背の高さに細身ではあるが、がっしりとしたハクリュウが座ると、いささか小さくも見える。


そのハクリュウの右側に置かれた一人掛け用の、一際豪奢な深紅のソファーにコウリュウは座っていた。膝の上で手を組み若干身を乗り出して、ハクリュウをじっと見据えている。


その2人のソファーのすぐ後ろで、コクリュウは片膝を折る待機の姿勢で控えていた。軽く目を瞑り、どんな処遇にも甘んじようという、頑なな誠意が伝わってくる佇まいだ。


ソファーから少し距離を置いた入口のドアの横には、ここを自分の定位置と決めているイオリの立ち姿があった。いつになく凛とした立ち姿には、コウリュウを守らなければという、硬い決意が漂っている。


「兄上。ご決断ください。」


念を押すように、コウリュウはハクリュウを促した。


「我は・・・。」


こんなにも力ないハクリュウの呟きは、この部屋にいる誰もが初めて耳にするものだった。徐に足を組んで背もたれに体を預けるハクリュウは、天井を見上げてふぅと再び息を吐いた。


「ヤヨイとの約束を、違えたくはない。
我はこの先、ヤヨイからしか生気を貰わぬ。
そしてヤヨイにしか与えぬ。
もう人間を召すこともしない。
わがままと言われても、これだけはどうしても譲れぬ。」
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