竜王様のお約束
先程までの話を、勿論コクリュウは聞いていた。その話の流れでの、自分に向いた三人の視線である。


『有り得ない・・・有り得ない・・・有り得ない・・・』


コクリュウは心の中で、何回も反復した。固定された三人の視線が突き刺さり、どうしようもない圧迫感がコクリュウを襲うのだ。


『有り得ない・・・有り得ない・・・何かの間違いだ・・・』


今度は瞬きすることも忘れ、コクリュウは一心に床を見つめている。


「コクリュウ。」


ハクリュウに名を呼ばれ、コクリュウはビクッと肩を揺らした。


ゆっくりと顔を上げるコクリュウ。


「そなた、りゅうお・・・」


「無理です!無理です!
私などには無理でございます!!!」


予期していたハクリュウの言葉に、間髪いれず叫んでしまったコクリュウは、ハッと我に返りおでこを床に擦りつけて謝罪した。


「も・・・申し訳ございません!」


真面目の中の真面目、真面目の申し子であるコクリュウの拒否などは、ハクリュウの方こそお見通しであり、軽い失笑を誘う程度のものでしかなかった。




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