H.+ (エイチプラス)
ため息混じりに、裕也は言葉を発する。

もう、裕也も呆れているんだろう。

毎日毎日、学校にも行かずに七海を捜し回る私に・・・。


「・・・泉、あんまり自分を苦しめるな。七海だって、心配してるぞ」


・・・違う。

苦しんでるのは、七海だ・・・。


「泉が七海を好きなように、七海も泉好きだ。だから・・・泉が傷付くのを・・・」

「ヤメロよ・・・っ!」


七海は、私が迎えに来るのをきっと待ってる。

だから。

それ以上、言葉の続きを聞きたくない。


「私は信じてない・・・。私は、七海がいるって事だけを信じてる・・・」


七海のお葬式なんて、出てない。

だって、そんなのしてないから・・・。

切れた唇が、今頃ジンジンと痛み出した。

口の中に広がる鉄臭い自分自信の血液の味は、何度味わっても好きになれない。


「・・・今日は、とりあえず帰ろう・・・」


もしかしたら、この雨の下で七海は泣いてるかもしれないのに・・・。

裕也の低い声に対抗する力が何故か出なかった。
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