恋の扉をこじあけろ

家に帰るとすぐに、ベッドの上に倒れこんだ。


「琴乃ー、夕飯はー?」


「いらなーい…」


「いらないってあんた。あとでちゃんと食べなさいよ」


いらないって言ってるじゃないの。


イラつきながら枕に顔を埋めて、自分に嫌気がさす。

自分のことが気に食わないだけなのに、イライラしている自分が嫌。


こんなわたしは、ほんとにまだコドモだ……



幸宏のことはだいぶ立ち直れたと思っていたのに、幸宏に直接つながる人と会っただけでこんなに衝撃を受けるなんて。


強くなった、乗り越えたと思っていたのはわたしの勘違いだったんだ。


わたしの本当の心に向き合わずに、見て見ぬふりをして乗り越えたつもりでいた、コドモだったんだ…


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