恋の扉をこじあけろ

「先生は甘いもの好きなんですか?」


「好きだよ。どうして?」


「あのカフェ、女の人ばっかりだったのに2人だけ男の人がいたから、目立ってました」


だから先生を見つけたんだと、言い訳しておく。


先生は笑いながらスプリントを削り続けている。


「川崎がね、どうしても行きたいっていうから」


この前的井先生と一緒にあの店にいた、黒尽くめのヘラヘラ男を頭の中に思い浮かべてみた。


「川崎さん…甘党なんですね、意外と。そういえば写真、今も撮ってるんですか?」


「休みの日にたまに撮ってるよ。趣味だからね」


…趣味かあ。

趣味が写真って、なんか大人っぽくて素敵だな。


学部の男子たちは大抵、音楽を聞くこととか、映画鑑賞、スポーツっていうのにな。


「牧原さんは?何か趣味ないの?」


先生に聞かれて、ちょっと困ってしまった。

先生だけじゃなく他の人に聞かれても困ってしまうんだけど。

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