恋の扉をこじあけろ
「趣味ってほどじゃないですけど…、プチ登山は好きです」
「プチ登山?」
「はい。本格的な登山はきつそうだからやったことないんですけど、その辺の小さい山にならちょこちょこ登るんです」
運動神経は笑えるくらい全くないけど、たまに気分転換を兼ねて登るのが好き。
「珍しいね。女の子で登山が好きなんて」
そこで先生は削るのをやめて、わたしにもう一度はめてみるように言った。
はめてみると、相変わらずの違和感。
また先生は噛み合わせをみて、わたしに具合を確認した。
「どう?」
「きもひわふいへふ」
「喋れないねー」
先生は笑いながら、わたしの口からスプリントをはずした。
唾液がのびたのを、先生が指でくるっととった。
ああ、
恥ずかしすぎて、息が止まりそうだよ……