今だけそばにいていいですか?
嘘でしょ?
背中に回されたがっしりとした腕を押し返せないのは、この部屋の空気のせい?
「好きだったよ。今だけ5年前に戻れない?」
苦しい。
ふわふわと体だけが弾んで……あの日に戻っていい?
心も、体も。
今だけ大好きだった先輩に、ゆだねていい?
真っ赤な顔で、こくりと頷いた。
先輩の瞳自体がもうカメラみたいで、映る自分の姿に戸惑いながらもしなやかな指先に身を任せた。
綺麗に映っているかな?私。
彼の心のアルバムに残る私はどんな風だろう。
するりと衣服をはぎ取られながら、自分の中で一番美しくあれ、と願った。
【END】
