†captivity†(休載)


奏多くん家は、洋食店の隣だった。



「こっち」



お店とは別の入り口から入ると、普通の一般的な家の廊下と階段。

どうやらお店と繋がっているらしい。



「お邪魔します……」

「二階」

「あ、うん」



奏多くんに続いて二階へと上がり、一つの部屋に入った。



……ここは?

見たところ普通の部屋。

ベッドがあって、机があって、本棚があって……。

誰かの一人部屋にしか見えない。



……というか、奏多くんの部屋にしか見えないんだけど。



「あの、か、奏多くん?」



首を傾げる奏多くん。



「奏多くんの部屋、だよね」



こくり。



男の子の部屋になんて、知歌の部屋と緒方先輩の部屋にしか入ったことがないんだけれど。



「いいのかな、入って」



こくり。



少し悩んだけれど、あたしは奏多くんの部屋へとお邪魔した。

相手が奏多くんなら、きっと大丈夫だろう。
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