†captivity†(休載)


奏多くんの部屋の真ん中に小さな机があり、奏多くんはそこに座布団をおいてくれた。

どうやらあたしの席らしい。



「ありがとう」

「待ってて」



そう言って奏多くんは部屋を出て、階段を下りていってしまった。

なにしに行ったんだろう……と思って数分後、奏多くんが飲み物を持って戻ってきた。



「お茶……」

「ありがとう、奏多くん」



奏多くんはお茶を机の上に置いてから、あたしの向かい側に座った。

うつむいて、口をもごもごと動かしている。

何かを話そうとしているのは明かで、でもなかなか言葉にならないみたい。



「和歌」

「なに?」

「和歌は、暗い話、嫌い?」

「暗い?」



そう聞かれて気付かないほど鈍い訳じゃない。

奏多くんはきっと、話そうとしてくれてるんだ。

聞いてほしいと思ってくれてるのかもしれない。



たぶん、さっきの五人組の事だ。
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