†captivity†(休載)


小学校2年、今はもうほとんど記憶には残っていないけれど、覚えていることが1つだけあった。



「奏多、苦しい思いばかりさせてしまっていてごめんね。でもこれからは、ほら、この子が奏多の相談役だよ」



お父さんにそう言われて紹介された相談役兼使用人の卵が、滝澤灯だった。



「滝澤灯です。なんでも話していいからね、それが僕のお仕事だから。よろしく奏多くん」



灯は従業員の息子で、小学校は違ったけど、中学は一緒のところに通うことになった。

その頃にはすでに掛け替えのない存在で、何があっても頑張って来れたのは、灯のおかげだった。



でも、ふと気付いてしまった。

彼は雇われた身であって、自分で僕を選んでくれているわけではない。

僕は灯が大好きだけど、灯は……?



そう気付いてから僕は、せめて学校だけでも自由にさせてあげようとして、いつの間にか避けるようになっていた。

灯もそれを感じ取って、僕に合わせて他人のフリをする。

でもいじめられている現場にいる時は助けてくれようとしてたし、後で呼び出しのメールをくれて、話を聞いてくれる日もよくあった。



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