†captivity†(休載)
──フレンド
「普通の人の日常なんて、遠いって思ってた。でも心は、みんなおなじだって、だから僕が変わりたいと思えば無限に世界を変えられるって、言ってくれた」
奏多くんの過去を聞いて、緒方先輩の印象が変わった。
『どこまでも遠い世界から、同じ世界だっ て、気付かせてくれた』
前に聞いたこの言葉も、今の説明でスッと心の中に入ってきた。
あたしも、緒方先輩も、奏多くんも、みんな平等であるべきなんだ。
なのに奏多くんだけ見下されるような扱いを受けるなんて、あるべきじゃなかった。
緒方先輩はきっと、それを伝えたかったんだろう。
「今はね、リハビリ中」
「リハビリ?」
「人が怖いのを治すの」
人が怖い、それは奏多くんを見ているとなんとなくわかってしまう。
人に慣れない、人から逃げてしまう。
それはきっともう、無意識なんだろう。
でもそれを克服しようとしている。
奏多くんはちゃんと、前に進もうとしている。