†captivity†(休載)


緒方先輩が、固まる。

言った本人、あたしも固まる。

やっちゃった。



東先輩の目がヤバい。

もう冷たいとか通り越して、目が据わっている。

東先輩の背景からオドロがあたしに迫ってきているような、そんなオーラを感じる。



これはヤバい。

さっきの比ではないほどマズいことを言ってしまったらしい。



口を少しだけ開いた東先輩に、なにを言われるのかと身構えた。

そして。



「くたばれゲス女」



ついに本性を現したのか……と言いたくなるほど酷い言葉を吐いた。







──と、そんな雰囲気の中。


コトリと、目の前の机にシチューが置かれて、視線を上げた。



「できた」

「……奏多くん」

「悟、」

「今日は帰る」



机に置いていた本をスクールバッグに入れた東先輩は、立ち上がって玄関へと向かってしまった。



ドアの閉まる音がすると、辺りは静まり返る。

奏多くんのほんわかパワーで、ピリピリとした空気は消えていた。

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