†captivity†(休載)

──自分の心










――なにが起きたのか。



それは一瞬の出来事で、気付いたら彼の背中を追うように走っていた。












緒方先輩に掴まれていた手首が、まだ熱を持っている。

灯くんの、意外と広い背中をみながら、どこへ連れて行かれるのかもわからず、ただ引かれるままに走る。



彼はいつの間に、あんなにも近くにいて、緒方先輩の手を振り解かせてくれたのか。

不意をつかれた先輩は、突然割り込んだ灯くんに思わず手がゆるんだのだろう。



そして彼はあたしを攫う。

ただひたすらに、走って逃げた。



















着いた先は、学校の玄関。

あたしは鞄を受け取っていたし、灯くんも持っていた。

どうやらこのまま帰るらしい。



「灯くん……」

「このまま逃げたいけどさ、さすがに靴履き替えなきゃだよね」

「とも──」

「どこ行こうか?カフェ?遊園地?それとも公園?」

「……と」

「俺奏多の家行くからあんまり時間ないけど」

「……」



聞けよ。




< 196 / 392 >

この作品をシェア

pagetop