†captivity†(休載)
「……てめぇ……」
「心くんが悪いです!」
その五分の間に、頭の整理と落ち着きを取り戻したあたしは、もうさっきまでのやられっぱなしの和歌ではありません。
ていうか、気張ってないと、さっきまでのこと思い出してまた恥ずかしさでどうにもならなくなる……!!
「……で、俺は今度はいつまで待たされるんだ?」
「……なにを?」
「セッk「どうぞ数学の教科書です!!!!」
あたしは思いっきり心くんの顔面に数学の教科書を投げつけて口封じに成功した。
「端午の節句ですか。とっくに過ぎましたよ。それとも石灰ですか石器時代ですか石鹸ですか接骨院ですか」
「……いてぇ」
「セクハラが過ぎますよ、先輩」
「チッ……純情め」
「女の子にセクハラしたら嫌われますよ!理事長に言いつけますよ!?」
「あー……それは勘弁だな。めんどくせぇことになる」
とっさに思い出した、理事長の息子だという事実を盾に、あたしは守られました。
グッジョブ理事長。
「だがキスはする」
「……まぁ、それくらいなら、軽くなら……」
あたしも、したいから……なんて素直にはまだなれないけれど、とりあえず拒否はしないで態度で悟ってもらった。
女の子は難しい生き物なのです。