†captivity†(休載)
東先輩のいないその空間はいつもと違ってなんというか……トゲトゲしさが皆無ななごやかな空間……。
いや、あの人の存在感が強いのよ……。
カーテンの閉められた暖色の空間の中、綾愛さんはパソコンを開いている。
「お邪魔します」
「荷物一旦端に置いとく」
「はい、ありがとうございます」
あたしたちは奏多くんと灯くんの座っている向かい側、綾愛さんの隣に座った。
「さて、本日もお兄ちゃんの為に皆様お集まり頂きありがとうございますぅ!今日は新メンバーの和歌さんも加わりました!よろしくお願いしますぅー!」
「え!?あ、よろしくお願いします!」
綾愛さんの挨拶から始まり、唐突にご紹介頂いた和歌ですお邪魔します!!
みんな知ってるメンバーだけどね!!
「綾愛ちゃん、和歌にはどこまで話したの?」
「この計画についてはまだなぁーんにも!お友達巻き込みますねってことくらいですかねぇ」
「そこだけ話すって不信感しか湧かないと思うよ……」
灯くんはそう言って頭を抱えるし、奏多くんはルンルン楽しそうな瞳をあたしに向けてくれてるし、心くんに至ってはあたしの髪をいじっている。
君たち話し合いする気あるよね大丈夫??
「どこから話したらいいんでしょうかねぇ?手始めに昔のお兄ちゃんから順番にお話します?」
「……それ、聞いて大丈夫なことですか……?」
「私たちが見てきたお兄ちゃんを話すだけなので。……でもまぁ元カノさんとの時間はお兄ちゃんの中だけのものですし、その辺は省いての説明になりますかね」
うん、そうね、元カノさんの話はプライベートだし……と一瞬言葉を受け止めた後に、聞き慣れないワードに気付く。
元カノ?
まって。
………………元……カノ????
東先輩の……??
元カノって言いました……???
「東先輩、元カノいたんですか……!!?」
それは、今日一番の衝撃だったかもしれない。