†captivity†(休載)


「今回の私の計画は、人に対して……特に女に対しての不信感を和らげるために、グループの女性率を少し上げて慣れてもらいたいんです」

「リハビリのようなこと……でしょうか?」

「無理はさせたくありせん。でも和歌さんがお兄ちゃんたちと当たり前のように関われるようになったことは、大きな進歩なんです。私にも触れなくなったお兄ちゃんが、和歌さんには……」

「あ?」

「……?……はっ!!」



心くんのジト目がこちらを向く。

思い出すのは、教室に来て頭を掴まれたこと、玄関を出て頭を掴まれたこと、額のアザの確認で少し触れられたこと……。

いや、なんで彼そんなに頭掴んでくるの??



「触られたのか」

「いや、あれは、緊急的な、焦り的な、心配的な?やつで……ちょっと……」



あや、綾愛さんなんで知ってたの!!?

バッと灯くんに疑いの眼差しを向けるが、彼は首を振る。

灯くんが話したわけじゃないのに知ってるとは……どっから情報が回っているのか……末恐ろしい。



「心くん……怒るんですか……?」

「奏多以外は許してねぇからな」

「でもあの時まだ心くんと付き合ってること報告する前だったしノーカンというか、ただちょっとおでこ見られたり頭掴まれたりしただけなんですよ!?」

「後で話すか」



背筋に悪寒が走ったけれど、この場ではこの話は流してくれるらしい。

後がちょっと怖いけど。



「と、まぁそういうわけで、あの日以来お兄ちゃんとようやく関わりを持てるようになった女の子が、和歌さんなわけです」

「確かに、東先輩が女の子と話してるところは見たことないです」

「そうでしょう?それで、こんな和歌さんのお友達なら大丈夫だろうと判断しました。お兄ちゃんたちと関わっていることを知っての上で友達を続けてくれる人たちでしょう?」





『ウチらずっと味方ではいるけど、なにかあっても責任は取れないから、自分の身は自分でちゃんと守んなね』

そう、言ってくれた。

ずっと味方でいてくれると。

それだけで心強かった。

そんな、あったかい子たち、いい人たち。
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