†captivity†(休載)
──友達というものは
緒方先輩に付いていくと、校舎の玄関に着いた。
……あれ、それって別に緒方先輩来なくても、待ち伏せしてればよかったんじゃ……?
まぁいっか。
奏多くんに会えるなら。
靴を履いて外へ出ると……いない。
奏多くんがいない。
てっきりいるもんだと思ってた。
そこへ、緒方先輩も靴を履いて出て来た。
緒方先輩はケータイを睨んでいる。
なにかあったんだろうか。
「んのヤロウ……」
ケータイと睨めっこして、ブツブツと呟いている緒方先輩は、普段より怖い空気をまとっていて、帰宅する学生たちが遠巻きにあたしたちを見ていく。
……他人の振りをしたいってこういうときに使うのかな。
「あのー……奏多くんは?」
「おせーから先行ってるってよ。なんなんだアイツ」
どうやらにらめっこの相手は奏多くんたちのメールか何かだと思われる。
緒方先輩があたしを呼びに来たときに待ちきれなくて先に行ったんだろうか。
「なんかすみません……ていうか追いかけますか!たぶんそんなにまだ遠くないですよね?」
「たるい」
……は?
「わ、わんもあ」
「たるい。めんどい。誰が追いかけてやるか、待ても出来ないガキに」
たるい発言に加え、暴言まで吐き始めた緒方先輩。
うわぁ、ヒドい。
仮にも懐いてくれてるチワ……奏多くんに。
「それなら、あたし先に行きます」
「は?」
「え?」
なにやら不満そうなご様子。