†captivity†(休載)


なぜだろう、東先輩が言う『お願い』がすごく怖いと思うのは。

だってほら、笑ってるのに。

目は笑ってないけど。



「約束してくれたら、奏多と1日デートさせてあげる」

「する」



気付いた時には、口が勝手にそう言っていた。

ヤバい、かもしれない。



「やっぱり却下──」

「へぇ、断るの」



東先輩の背後から冷気を感じた。

怖い、怖いぞ。

笑ってるはずなのに、鬼を連想させるような目をしてる。

般若が見える。



「断れません、かな」

「そうだよね、さすがにそこまでバカじゃなかったことに安心したよ」

「ははははは……」



誰かこの人止めてくださいもしくは警察突き出してください脅されました被害者です!

そんな心の声は聞こえるはずもなく、肩を落とす。

あぁ……とんでもない頼みだったらどうしようか?



「それで、お願いとは……?」

「それはね」



東先輩はたっぷり10秒ためてから話した。
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