生存者の運命

僕は名前も知らない駅で降りた。
普段乗らない電車だったみたい。

改札を抜けてみれば
ちょうど橋だった。
下を覗き込めば、さっきまで乗っていた電車が
出発するところだった。

別に電車が来なくても
この高さなら落ちただけで死ねるだろう。



「待っててね、カズ。今行くよ。」


神様、あんたは大切なものを奪ったんだから、
見返りをくれたっていいでしょ?
天国に連れてってよ。


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