君が好き



すっかりこの学校にも慣れて。

だけど、
初めて喋った時に感じた“壁”はまだ消えない。


なんだか彼女には踏み込めないのだ。


楽しそうに笑っていても、
どこかもろい、弱そうなところがあって。

しっかりしているようで
どこか危なっかしい。



「わかんねぇな」

そうなんだ。
わかんねぇんだ。

近寄れそうで、オープンなように見えて、
実はしっかり鍵をしている。

踏み込めない。



「宿題して来いよー以上」


その時、
クルリと振り向いた加藤。

後姿を見つめていたはずが、
突然こちらを向いたことにドキリとしてしまう。



見えるはずないだろうに、
遠い、ずっと向こうのはずなのに
加藤がこちらを見た気がして。



2か月。
出会って2か月になるけど、全く近づけない。


こっちは、
もう少し君に近づきたいと、そう、思っているよ。






きょーつけーれー









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