君が好き
3.まつり



あっちー
アイス食いてぇ
クーラーなんでねぇんだよ

なんて声が出始めた頃。


確かに、ムシムシと嫌な暑さが続いていた。



「うわ、なんだよ」


担当教師が何やらプリントを職員室にとりに行っている間
マモルがどうやら堂々と立ち歩いたようだ。

窓際にあるこの席に突然やってきた。

…なんだよ、暑苦しいな。


団扇で仰ぐ手は休めずじっとりとそちらを見れば
ニマニマとこちらを見る。


「ほら、姫、体育じゃん」

奴の目線の先を追えば
姫、こと加藤がその言葉通り体育をしている。


「…だからなんだよ」

体育、するだろ、そりゃ。
何をいちいち…

「いやぁ、可愛いなぁって。」

ニマニマニマニマ。
なんだよ、この顔、気持ち悪い。

「お前さぁ、本当になんもねぇの?
最初はあんながっついてたくせに」

がっついてたって…。


まぁ、確かに。
窓の向こう、彼女の姿を見つめてみる。



「おい、お前なんで立ち歩いてんだ」

「あ、すいませーん
上本くんによびだされてー」


週三回の生徒会の活動。

自然と顔を合わせることになるわけだが、
加藤は、出来るやつ、だ。

頭もいいし、
仕事も早い。

それでいて、周りへの気配りも出来て。


本当に、出来るやつ、なのだ。




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