瑠哀 ~フランスにて~
 そう叫んで、そのまま朔也は言葉を失い、唖然としたように口を開けて瑠哀を見返した。


 ピエールに至っては、その目が点になるほど瞠目している。


 瑠哀は堪え切れずにプッと一度吹き出し、下を向いて肩を震わせながら声を押し殺して笑い出した。


「―――16…だって?!

16才……。知らなかった…。

年下だとは思っていたけど、まさか、16才だなんて思いもしなかったよ―――!!」

「それも、よく言われるわ。私は老けているから」

「―――よく、君の両親が許したね。

君は、言ってみれば、未成年だろう?

その上、一人旅だ。俺だったら、そんなことを許すはずがないよ」

「だから、夜は出歩いてないわ。行き先も必ず連絡してるもの」

「それは、当然だろうけど……」


 朔也はまだ驚きが取れていない様子で、手を口元に当てるようにした。


「18~9の女の子だって、一人で旅行する人がいるでしょう?彼女達も十代よ」

「それは…そうだろうけど―――。で

も、君の場合はちょっと違うだろう?」

「そうだよ、ルイ。

十五、六の女の子がフランスにたった一人できてるなんて、僕は聞いたことがない。

どうして、ここに来れたんだ?」

「まあ、それは色々とね。

それに、初めはここに住んでいる友人の所にいたの。

だから、親もそれほど心配してないわ。

この一ヶ月は気をつけるように言われたけれどね。

私はそこら辺の信用があるから」


 瑠哀はにこりと笑った。
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