瑠哀 ~フランスにて~
「どう――して、言ってくれなかったんだ?」

「ちょっと…、忙しかったでしょう?私も、忘れていたから」


 朔也は、ああ、と言う風に口を噛んで小さく息を吐いた。


「そう…だったね。―――遅れたけれど、誕生日おめでとう」

「ありがとう」

「ルイ、僕からも、おめでとう」


 瑠哀は、ありがとう、と微笑んだ。


「日本人には年を聞いたらダメだと聞くけど、そこまで年を気にする年齢じゃないだろう?

僕が尋ねてもいいのかな」


 瑠哀はおかしそうに唇を噛んで、二人を見やる。


「別にかまわないけど――。私、いくつに見える?」

「さあ…、僕達より一つか二つ下じゃないの?」

「あなた達はいくつなの?」

「サーヤは二十で、僕はその一つ上だよ」


 瑠哀は笑いを堪えているような顔をして、首を傾けた。


「私は、16よ」


 え、と言うように二人は眉を寄せた。


 瑠哀はおかしそうに目を細めて繰り返す。


「16になったの。この間の誕生日でね」

「16…?―――16っ?!」
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