瑠哀 ~フランスにて~
 朔也はにこりと笑んでみせた。


「別に、私の年齢を気にしなくてもいいのよ。

普段だったら、16には見られないもの」

「いいや。十分に考慮させてもらうよ」

「そうだね。それを聞くと、なんだか一気に娘を持った父親の気分になるな。

普通の父親なら、かわいい娘を危険な目に遭わせたくはないだろうね」



 ピエールはクッと浅く笑って、瑠哀にチラリと視線を投げた。

 朔也も目線だけを瑠哀に向ける。



「娘と妹思いの優しい父兄を持って、私は幸せだわ」


と、微かに顔をしかめながら、瑠哀は言った。
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