瑠哀 ~フランスにて~
「―――どうやって、彼女に渡すのかな?」


 その飾りをつまんで、しばらくそれを眺めていたピエールを見て、朔也は面白そうに片眉を上げ首をかしげた。


「さて、どうしようかな……」


 ピエールはつまんだ指を動かして、クルクルとその飾りを回す。


「――彼女が、夜に、エッフェル塔を訪ねると思うか?」


 ピエールは目線だけを朔也に向けた。


 朔也はキョトンとしたが、すぐに、軽く笑んで目を閉じる。


「さあねぇ……。でも、その可能性もなくはないだろうね」

「ふむ。――では、仕方がないから、今から行って待っているしかなさそうだな」

「それは、俺も含まれているのかな?」

「別に、無理にとは言ってないよ。

この、せっかくの夏休みにパリに残っている友人に、たまにエッフェル塔を見に行くのも、

少しの気晴らしになるんじないか、と思っただけだから」


 朔也は苦笑いする。


「それは、優しいことで。友人思いの親友を持って、俺は幸せ者だ」
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