瑠哀 ~フランスにて~

-2-

「ねえ、なんなの?」



 瑠哀はピエールに目隠しされて部屋に入って行った。

 耳元でピエールが、真っ直ぐ、と囁いた。



 足元が不安定な感じで、仕方なく瑠哀は一歩前に進んで行く。


「そこでいいよ、ルイ」


 パッと、ピエールの手が離され、一瞬、明るくなった視界に瑠哀は軽く瞬きをする。


 鮮やかな真紅の色が目に飛び込んできた。



 さっと見た目にもはっきりと分かるほどたくさんのバラの花が、花束になって目の前のテーブルに置かれていた。

 両手でも抱え切れないほどのたくさんのバラの花束である。



 そして、その横にはケーキがあって、これはなんだろう、とポカンとして見やった。



 その隣でピエールが瑠哀の頬にキスをしてきた。


「誕生日おめでとう、ルイ」



 瑠哀はピエールを振り返った。

 朔也が微笑みながら、横から瑠哀のその肩を抱いて頬に優しくキスをする。



「遅くなったけど、誕生日おめでとう」

「うそ………!」


 瑠哀は予期してない二人の優しさに驚いた。
< 172 / 350 >

この作品をシェア

pagetop