瑠哀 ~フランスにて~
「これを言っていいのかどうかは判らないけど、ルイは食べてないよ。

それと、眠ってもいない」


 え、と朔也は驚いてピエールを見返す。


「僕達と会ってから、ルイは一定的にと言うか、

時間が経つにつれ、体重が減って行っている。

僕の審美眼は厳しい、と言っただろう?

ルイのこけ方で、それぐらいは簡単に判る。

肩や首がかなり細くなっているね。

これは、食べてない証拠だ。それと、眼の下の隈。

うまくコンシーラーかなにかを使って誤魔化しているけど、僕の目には通用しない。

普段、ルイは化粧などしてなかった。

すごいきれいな肌だ、と思っていたんだ。

でも、ここしばらく、薄くだけどファンデーションが塗られている。

顔色が悪いのを隠すためだろうね」


 朔也は感心したようにピエールを見つめ、ほう、と深い嘆息をついた。



「さすが―――だ、な。俺は…気付かなかった」

「僕だからね。大抵は、わからないと思うよ。

ルイも、かなりうまく誤魔化してるから」


「どのくらい食べていないと思う?」

「さあね。

でも、僕達といる時はなにかを口にしているのを見てるから、それだけじゃないの?

夜は部屋が別々だから、ルイがいつ寝てるのかは知らないしね」
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