瑠哀 ~フランスにて~

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 瑠哀は泣いている間、緊張の糸が緩んだのか、気を失った。

 朔也はその顔を覗き込み、親指でその涙をぬぐい、優しく目尻にキスをした。



 そっと瑠哀を横たわらせる。さっきの水のシャワーを浴び過ぎたせいで、瑠哀の体はものすごく冷たい。


 体温が全く感じられなかった。



 側にあったバスタオルで瑠哀をくるみ、バスタブにお湯を落とす。

 その間に、ピエールとメイドを呼びに行き、手早く事情を説明した。



 部屋に戻り、服を着せたまま瑠哀をバスに入れ、しばらくしてゆっくりと抱き上げた。

 バスタオルで包んだ瑠哀をベッドまで運び、静かに寝かせる。



 そこにいたメイドに着替えを頼み、ピエールをそこに残らせ、自分の部屋に戻って着替えを済ます。



 もう一度戻って来ると、メイドはいなく、ピエールが枕元に静かに座って、瑠哀の髪を優しく撫でていた。


「ルイは?」


「まだ、眠っているよ。

ずっと神経を張り詰めっぱなしだったから、疲れてもいると思う」


 朔也は曇った顔をして、反対の枕元に腰を下ろす。


「ルイが……思った以上に軽いんで、驚いた―――」


 ピエールは顔を上げて、朔也を見る。


「細いとは思っていたけど、こんなに軽いとは…思わなかった」
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