瑠哀 ~フランスにて~
『悪い?

じゃあ、何をして君は狙われるようになったの?

なんとも言えないんだろう。

使えるものを使わないのは、君がそういうことが嫌いだからだ。

違うか?

“悪い”という言葉は、正しい君の表現じゃない。

俺のことは、心配する必要はないよ。

それに、ここより俺の所のほうが、いくらか安全なのは保障するよ』

『あなたは――お人好しなのね…』

『さあ、どうかな。

本当は、下心があるかもしれないよ。

美しい女性を誘うために、ね』


 朔也は軽くウィンクしてみせる。


 瑠哀はそんな朔也に、この上なく魅惑的な嬌笑をみせた。


『そんなことをしなくても、あなたなら、女の方から寄ってくるでしょう?』
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