瑠哀 ~フランスにて~

-5-

「ルーイっ!!!」



 ユージンが勢い込んで部屋の中に駆けて来る。

 さすが子供だけあって、いつでも元気がいい。



「もう探検は終わったの?おもしろかった、ユージン?」


 ユージンは、うん、と大きく頷いた。


「あのね、こーんなにおおきなすいそうがあって、さかながいっぱいいたんだよ。

あおいのとか、オレンジのとか、いっぱい、いっぱい、いたんだよ」


 ユージンは腕を目一杯広げて、身振り手振りで見て来たことを語っている。


「ユージン、それは良かったわね。

ママも、ルイとお話が終わった所だから、そろそろ帰りましょうか」

「ええ、もう?まだ、いいじゃない」

「ルイはしばらくここにいるそうだから、またいつでも会えるわ。

それに、今日こそは、ちゃんとお昼寝しなくちゃ、ね?

ここに来てからずっとはしゃぎっぱなしでしょう。

昨日の夜も遅かったのを、ママはちゃんと知ってるんだから」


 ユージンは、ええ?、というふうに不満げな顔をする。


 瑠哀は微笑んで、ユージンの前に屈み込んだ。


「ユージン、また後でいらっしゃい。

私は、ここにいるから。休まなかったら、疲れて、私と遊べなくなってしまうわよ。

だから、今日は、ちゃんとお昼寝しましょう、ね?」



 ユージンは口を尖らしていたが、うん、と仕方なく頷いた。

 母親が出した手を握って、バイバイ、と手を振った。



「お兄ちゃんたちも、バイバイ」
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