森の人
「…?何?」

不安気に様子を伺う茜。

「何か聞こえる」

拓也のその声に、一斉に静まり返る。

そして、数秒の沈黙の後、

「キャッ!」

サヤカが悲鳴をあげた。

「何?どうしたの?」

不安が募る茜。

「今、地面が揺れた」

今までの勢いとは一転し、青ざめた顔でサヤカが言う。

「地震?」

「違う。揺れたのはほんの一瞬だけ」
「ほら、また」

サヤカのその声と同時に、焚き火が不自然に崩れた。

「ちょっと!変な冗談はよしてよね!私は何も聞こえないし感じな…。…!」

その時、確かに何かを感じ、聞いた茜。

身を縮め、拓也にしがみつく。

もはやその顔は不安ではなく、恐怖で強ばっていた。
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