森の人
そして、さっきの「それ」は、茜だけでなく、ここに居る全員が、確かに感じていた。

耳を澄まさずとも聞こえる、地響きのような音。
一定のリズムを刻み、一瞬だけ揺れる地面。

「早く空洞の中へ」
「コウヘイ。火を消して」

危険を察知した拓也は、コウヘイにそう指図し、みんなを空洞の中に誘導した。

茜。サヤカ。澤山。
火を消していたコウヘイ。
そして最後に拓也。

の順で、空洞の中に逃げ込む。

「何?何なの?」

得体の知れない「何か」に怯える茜とサヤカ。
その横で無言で震える澤山。

次第に大きくなる地響きのような音。
そして、一定のリズムを刻み激しくなる揺れ。

それは、地震のような自然現象ではない。

何かの足音。

それもとてつもなく巨大な。

しかも近付いてくる。
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