森の人
夜が明けた。

霧がたちこめ、木々の清々しい匂いが辺りを包んでいる。

そんな中、一人黙々と武器作りに励む澤山の姿があった。

「そんなに張り切らなくても」

起きてきたサヤカが、澤山の背後から言った。

「でも、万が一の時に備えないと」

振り返ることなく、黙々と作業を続けながら澤山は言った。

「これ全部、あなたが作ったの?」

そこには、出来上がった新しい槍が数本と、剥がされた毛皮が置かれていた。

「はい」

相変わらず、黙々と作業を続けながら返事をする澤山。

その横にサヤカがしゃがんできて、

「ねぇ、あなた、拓也のこと好きなんでしょ?」

唐突に言った。

「な! そ、そんなこと…」

今まで黙々と続けていた作業を止め、サヤカの方を見て言った。

「あなたは私と同じよ?」

「ち、違います!僕は…」

「私には解るわ」
「その痛みもね」

「サヤカさん…」

「私達が男である限り、相手も『そう』でなければ報われることはないもの」

そう言って、遠くを見つめるサヤカ。

「でもね、相手を振り向かす方法が、一つだけあるわ」

「それはね…」

そう言って、澤山に耳打ちをした。
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