森の人
「餌でも探しに行ったんだろう」

と、拓也。

「チャンスは今だ!一匹なら何とか倒せる」

そう言って、槍を持っている手に力を入れた。

「ちょっと、正気?死にに行くようなもんだわ」

「そうですよ。身を隠せた空洞の中とは違って、危険です」

反対する二人。

「茜はどうなるんだ!」

「一人ぼっちで、辛い目に遭って、きっと傷だらけで、俺達の助けを待ってるんだぞ!」
「それに、命だって…。茜を見殺しにするのか!」

黙り込む二人。

「行きましょう!」

いつになく逞しく、澤山が言った。

「どうやって倒すんですか?」

澤山が聞く。

「俺が囮になる」

「俺を襲いにきて口を開けた瞬間に、この毒草をすりつぶしたものを入れた袋を放り込む」
「そして君達は、獣がひるんだ隙にその槍で刺してくれ」

「そんな、それじゃ、拓也さんが…」
「他の方法を考えましょう」

と、澤山。

「お願いだ。やらせてくれ」

顔を見合わせ、思案する三人。

そして、覚悟を決めた拓也の顔を見て、無言で頷いた。

「拓也さん!」

腰にぶら下げていた袋に手を入れて、澤山が拓也に近付いてきた。

「念のため、この牙を」

そう言って、獣の牙を渡した。

「ありがとう。澤山君」

受け取った牙を腰にさすと、

「行くぞ!」

気合いの入った声で、急斜面を降りて行った。

後に続く三人。
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