極上御曹司のイジワルな溺愛

「炊飯器の中から内釜持ってきて」

今日の私は、蒼甫先輩の助手。言われたことには文句を言わず、ただ黙ってその指示に従うだけ。これ鉄則。

炊飯器の中から内釜を取り出すと、蒼甫先輩の隣に並ぶ。すると蒼甫先輩は私の後ろへと移動し、背後から腕を伸ばした。

後ろから抱きしめられるような格好になって、一瞬で体が固まる。

「米っていうのは、こうやって研ぐんだ」

蒼甫先輩の体が私の背中に密着しそこから熱が帯びだすと、その熱が体中を駆け巡る。先輩の手元に集中したいのに、背後から抱きすくめられているような感覚にどうにもこうにも落ち着かない。

「お前、ちゃんと見てるのか?」

「み、見てますよ」

必死にそう答えたのに、蒼甫先輩、なんだか笑ってる? 

体に細かい振動が伝わってきたと思ったら、クククッとおかしな笑い声が聞こえてきた。

「先輩?」

「椛、お前おもしろすぎ」

その言葉でピンとくる。



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