極上御曹司のイジワルな溺愛

これって私、遊ばれてない?

後ろを振り返り見上げると蒼甫先輩はまだ笑っていて、全く面白くない私は唇を尖らせた。

「いい加減にしてください。昨日といい今といい、何度同じことをやれば気が済むんですか?」

「悪い。椛の反応が面白くて、つい……」

「先輩、趣味悪いですよ」

そう言って蒼甫先輩の腕から抜け出ようとして、あっけなく失敗に終わる。蒼甫先輩のたくましい腕が私の体に回されて強く抱きしめられると、身動きひとつできなくなってしまった。

「まだ終わってないぞ。米研ぎは時間との勝負だ」

「だったらこの腕、離したほうがいいんじゃないですか?」

「まあ、そうなんだけどな」

蒼甫先輩はどういうつもりで、こんなことしてるんだろう。女性を抱きしめるなんて、朝メシ前?

ろくな恋愛しかしてこなかった私だけれど、この状況は理解しがたい。

マジで勘違いするよ?

職場でも人当たりがいいからか人気はあるが、今までチャラい感じを受けたことはない。誰にでも、こんなことをする人だとは思いたくないけれど……。






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