極上御曹司のイジワルな溺愛

「わかりました。予定なんて何もありません。食事でも地獄でも、どこでもお供します」

「わかればいい。って、なんだよ地獄って」

今の私はそんな気分なんです。

蒼甫先輩も帰ってきて思わぬ人にも会えて嬉しかったのに、蒼甫先輩の言葉で地獄の底に落とされた……。

ちょっと言い過ぎかもしれないけれど、優しさの欠片もない蒼甫先輩の言葉に傷ついた。それを伝えたかっただけですよ。

ひとりでブツブツ文句を言っていると、麻奈美に体を小突かれた。

「社長はアンタのこと、よくわかってるじゃない」

麻奈美はそう言うと「彼が待っているから」と、さっさと帰っていった。

「どこがよ……」

呆れながら麻奈美を見送り、小さく溜息をつく。

「どうした、溜息なんかついて」

「どうもしません」

溜息の原因は、蒼甫先輩、あなたです!

そう目で訴えてみても、蒼甫先輩に伝わるはずもなく。スルーされて、がっくり肩を落とした。



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