極上御曹司のイジワルな溺愛
「その顔は、許可してもらえないってことかな?」
「もちろんです」
「蒼甫のことが好きなの?」
ふいに現実的なことを問われて、言葉に詰まる。
「……それ、今関係ありますか?」
「関係ないか。ごめん」
そう答えた薫さんは私の体に回していた腕を解き、大きく溜息をつく。
「それはそうと。椛ちゃん、何か用事があったんじゃないの?」
「あっ……」
すっかり忘れていた。こんなところで、油を売っている場合じゃなかった。
薫さんの腕を取り、階段へと向かう。
「ちょ、ちょっと。椛ちゃん、どうしたの?」
「その格好だと、まだお風呂に入ってませんよね? 夕飯は?」
「風呂はまだだし、夕飯は軽く食べただけだけど」
「なら、問題ないですね」
そのまま腕を引っ張り階段を降りると、玄関を飛び出した。