極上御曹司のイジワルな溺愛
「薫さん、こんな時間にすいません。まだ起きてますか?」
小さくノックして、小声で呼びかける。
うん? 返事がない?
しばらく待ってみたが、物音ひとつしないということは……。
「部屋にはいないか」
「なになに? 椛ちゃん、こんな時間に来るなんて、もしかして夜這い?」
「うわあぁぁぁー!!」
突然後ろから羽交い締めにされたと思ったら、ギュッと抱きしめられてしまった。
「腰が抜けるかと思った……」
「それは、大丈夫。僕が抱きしめてるからね。それとも、ベッドで看病しようか?」
耳朶をかすめるように囁かれ、今度は違う意味で腰が抜けそうになる。
「だ、大丈夫です。薫さんがベッドとか言うと、いやらしく聞こえるのは私だけでしょうか?」
薫さんの腕の中で小さくなっていると、頭上から苦笑にも似た笑いが聞こえてきた。
「椛ちゃん、それは聞き捨てならない言葉だなあ。前にも言ったけど、僕は三十五の紳士だよ? 椛ちゃんの許可なく、いやらしいことするなんてあるわけないでしょ?」
「そうであることを願います。で、この腕は、いつ離してもらえるんでしょうか?」
首を曲げ、薫さんの顔を見上げる。