極上御曹司のイジワルな溺愛

「こんな時間だけど、飯食いに行こうと思って。兄貴も一緒にどう?」

「そういうことか。それで椛ちゃんが呼びに来たってわけだ」

薫さんは納得と言うように頷くと、私を見て微笑んだ。

「椛ちゃん、わざわざ悪かったね」

「い、いえ。私が勝手にしたことですから」

「何言ってるの。君は僕と一緒に、夕飯が食べたかった。どう、違う?」

蒼甫先輩と里桜さんが目の前にいるというのに、薫さんは私の肩にするりと腕を回す。

な、なんなの、この状況!

蒼甫先輩は明らかに怒っているし、里桜さんは私たちから目を逸らす。

「薫さん! 何してるんですか?」

「何って、見てのとおりだよ。僕は君に、好意を持っている」

薫さんはいつもの通りの涼しい顔で、サラッと愛の告白をする。

状況が飲み込めない私は、ただその場でうろたえるばかり。

何がどうしてこんな事になったのか、私の小さな脳ではキャパ崩壊。

ねえ薫さんって、里桜さんのことが好きなんじゃないの?



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