極上御曹司のイジワルな溺愛
でも今は、こっちも里桜さんの話題をツッコむつもりはない。話をすれば「要らぬ世話だ」と、また逃げられるのがオチ。
蒼甫先輩と目配せをし、リビングに入る薫さんに続く。
「椛ちゃん、さっきはいきなり抱いたりしてごめんね。でも君、蒼甫と付き合うんでしょ? ということは、いずれ僕の妹になるわけだ」
「い、いもうと……ですか!?」
薫さん、またいきなり話がぶっ飛びすぎていて、ポカンと開いた口が塞がらないじゃありませんか!
まあ確かに、そうなれば嬉しい……うん、嬉しい。でも付き合いだしたのがまだ昨日で、気が早いと言うべきかこっ恥ずかしいじゃない。
「なんの話してるんだよ、まったく……」
薫さんの脈絡のない話に、蒼甫先輩も困惑顔だ。
「なんの話じゃない、大切な話だ。だってそうだろう、僕の彼女じゃなくても妹なら、遠慮せず抱きしめられる」
ひとり納得するようにウンウンと頷く薫さんに、なんて自分に都合のいい話なんだろうと溜息しかでない。
遠慮せず抱きしめられた、こっちの身が持ちません!