極上御曹司のイジワルな溺愛
* * *
それから二ヶ月たった、桜満開の春本番のころ。
ガラス張りの窓から自然な光が美しく差し込み、大きなシャンデリアが煌めくエレガントなバンケットで、結婚披露宴が始まろうとしていた。
隣接しているオープンキッチンからは、良い香りが漂って来ている。
いつもより着飾った私はといえば、前室で椅子に座り緊張した面持ちでいた。
と言っても、私の結婚式ではない。
当たり前か──
可笑しくて込み上げた笑いを、ふっと漏らす。
「ところで麻奈美、どうして私も着飾る必要があるわけ?」
今日の私は新婦とまではいかないものの、いつもの黒やグレーの服装からは程遠い、綺麗な格好をさせられている。
「新婦からのご要望なの」
「梨加さんからの?」
そう。今日は“あの事件”で披露宴ができなかった、森ご夫妻の結婚披露宴。
平日にもかかわらず多くのゲストが参加しての披露宴に心が弾んでいるというのに、自分の格好を見ると少しばかりテンションが下がってしまう。
「この前会った時、梨加さん何も言ってなかったけど」
唇を尖らす私を見て、麻奈美が肩をすくめた。
「私もよくわからないのよね。昨日いきなりここに来たと思ったら、大きな袋を渡されて、これ一式を椛に着せてほしいって」
袋の中には、淡いピンクの春色のワンピースとそれに合わせたヒールパンプス。小花のモチーフが可愛い、ピアスとネックレスまで揃っていた。
私は彼女たちの披露宴のMCをする身。こんな格好はマズいでしょ?
そう麻奈美に言ったら「副社長から許可が出てるみたい」なんて、驚きの言葉が飛び出して。
なんで、ここで、蒼甫が出てくるわけ?
と、今日何度目かの首を傾げる。
それから二ヶ月たった、桜満開の春本番のころ。
ガラス張りの窓から自然な光が美しく差し込み、大きなシャンデリアが煌めくエレガントなバンケットで、結婚披露宴が始まろうとしていた。
隣接しているオープンキッチンからは、良い香りが漂って来ている。
いつもより着飾った私はといえば、前室で椅子に座り緊張した面持ちでいた。
と言っても、私の結婚式ではない。
当たり前か──
可笑しくて込み上げた笑いを、ふっと漏らす。
「ところで麻奈美、どうして私も着飾る必要があるわけ?」
今日の私は新婦とまではいかないものの、いつもの黒やグレーの服装からは程遠い、綺麗な格好をさせられている。
「新婦からのご要望なの」
「梨加さんからの?」
そう。今日は“あの事件”で披露宴ができなかった、森ご夫妻の結婚披露宴。
平日にもかかわらず多くのゲストが参加しての披露宴に心が弾んでいるというのに、自分の格好を見ると少しばかりテンションが下がってしまう。
「この前会った時、梨加さん何も言ってなかったけど」
唇を尖らす私を見て、麻奈美が肩をすくめた。
「私もよくわからないのよね。昨日いきなりここに来たと思ったら、大きな袋を渡されて、これ一式を椛に着せてほしいって」
袋の中には、淡いピンクの春色のワンピースとそれに合わせたヒールパンプス。小花のモチーフが可愛い、ピアスとネックレスまで揃っていた。
私は彼女たちの披露宴のMCをする身。こんな格好はマズいでしょ?
そう麻奈美に言ったら「副社長から許可が出てるみたい」なんて、驚きの言葉が飛び出して。
なんで、ここで、蒼甫が出てくるわけ?
と、今日何度目かの首を傾げる。