極上御曹司のイジワルな溺愛
ひとり頭の中で思いをぶつけていると、コツンと額を小突かれる。

「ひとり妄想を膨らませているところを悪いが、ちゃんと聞いて欲しい」

蒼甫は深く息を吐き、真剣な表情を見せる。彼の熱い視線に見惚れていると、薄い唇がゆっくりと動き出す。

「椛と知り合って、そろそろ十年経つか。長い付き合いになったな」

本当に──

蒼甫の言葉に、こくんと頷く。

「先輩から上司になって、今は俺の可愛い恋人になった」
可愛いって──

照れながら俯き、顔の火照りを手うちわで冷ます。

「この次は妻となって、ワガママで勝手な俺のことを支えてもらいたい」

やっぱり、これって──

ゆっくりと顔を上げ、蒼甫を見上げる。

「椛、俺と結婚してください」

真っ赤な大きな花束にシンプルなプロポーズの言葉って、蒼甫らしいと笑みが溢れる。

「何もできなけど、ホントに私でいいの？」
「何もかも知った上で、椛じゃなきゃダメなんだ」

頬に手が添えられて、もう片方の手で体を引き寄せられる。

蒼甫は柔らかく、それでいて熱い眼差しで見つめながら、顔を傾けて近づいてきて唇を重ねる。それを受け入れると、彼の体に腕を回してキュッと抱きしめた。



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