極上御曹司のイジワルな溺愛
「返事は? まあ聞くまでもないけどな」
「ふふ、何それ。じゃあ聞かなくてもいい?」
「いや、やっぱり聞かせろ」
聞かせろって……。
こんな時まで傲慢な態度に、正直呆れてしまう。
でもそれが蒼甫で、そうでなくっちゃ蒼甫じゃない。
そして私の返事は……。
「私でよければ、よろしくおねがいします」
止まっていた涙が再び瞳に溜まりだし、まぶたを閉じると、それが一気に溢れ出す。
「俺が世界で一番幸せな女にしてやるからな、覚悟しておけよ」
耳元で甘く囁かれた言葉は、世界で一番恐ろしい言葉であって。
覚悟って、どんな覚悟なのよ!
と嬉し涙を流しながら、心の中で文句を言って。
でも蒼甫とはこんな関係が一番楽しいと思ってしまう私は、相当彼に毒されているらしい。
「椛、おめでとう!」
麻奈美の祝福の声が合図となって、会場がわあっと喜びの渦に包まれる。
「え? あ……」
そうだった、ここは雅苑のバンケットだった……。
恥ずかしさから真っ赤になって俯く私の肩を、蒼甫が優しく包みこむ。