極上御曹司のイジワルな溺愛

家賃はタダ、夕食付き。その上こんなことまでしてもらったら、バチが当たるんじゃないだろうか。

一石二鳥なんて喜んでいた自分が恥ずかしい……。

「ありがとうございます。とても気に入りました」

興奮冷めやらぬままお礼を述べると、千夜さんは嬉しそうに顔をほころばせた。

カバンを置きコートを脱ぐと早速、家の中の案内と説明が始まる。

「お体は大丈夫ですか?」

部屋を移動するたびに、私の事を気にかけてくれる心遣いが嬉しい。
キッチンやダイニング、バスルームやトイレ。ひとつずつ回っていくが、どこの部屋もとにかく広い。しかも最近リフォームしたのか、どこもかしこも綺麗でピカピカ。

ウキウキワクワクしてしまうから、その気持ちがバレないように抑えるのに必死。

千夜さんは通いで、朝は十時から夜は六時まで滞在していること。基本は掃除と会長の盆栽の手入れが仕事らしいが、頼めば何でもしてくれるということ。夕食は冷蔵庫の中に作り置きがあるから、自分で温めて食べること。

その三つを話し終えると、千夜さんは「また明日」と笑顔で帰っていった。



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