極上御曹司のイジワルな溺愛
でもやっぱり今はこの状況を打破することのほうが先決だと的を絞り、抱かれた腕の中から副社長を見上げた。
「腕、どうにかしてもらえませんか?」
「どうにか? 逃げなきゃ解いてやってもいいけどな」
「逃げません」
「信用できないな」
なんなんだ、この無駄なやり取りは。
「もう、何を言ってるんですか、副社長。冗談もいい加減に……っ!」
からかうのはやめてください……と言おうとした唇は、副社長に唇に封じられてしまう。
「……んっ」
息苦しさに、甘い嬌声が漏れる。
もう三年以上、誰にも触れられていない唇。それは副社長の甘い口づけを、いとも簡単に受け入れてしまった。
何やってるのよ、私。さっさと離れて!
何度脳が司令を出しても、時間を追うごとに深く重なる唇にその脳さえも麻痺状態。何年も感じることのなかった柔らかく熱い感触に、体の力が抜けそうになってしまう。
角度を変え唇を貪られ、ほんの僅かな隙間から舌が差し込まれそうになるのと同時、副社長の手が腰のあたりを撫でた瞬間。我に返り、彼の体をドンッと大きく突き飛ばした。