極上御曹司のイジワルな溺愛
すでに口の中はイタリアン仕様。それを脳内でパパッと変換しお好み焼き仕様にさせると、それはそれで楽しみが増してくる。
ウィークリーマンションから車に荷物を運び部屋の掃除もしたからか、もうお腹ペコペコ。何でもいいわけではないけれど、お好み焼きなら腹持ちもいいし大歓迎だ。
肉玉? それとも海鮮? いや、餅チーズも捨てがたい。
「ヨダレ、垂れてる」
「……え? 嘘?」
慌てて口元に手を動かすと、蒼甫先輩が盛大に笑い出す。
「嘘。頭ん中で、お好み焼きでも食べてたか?」
騙された。でも遠からず当たっていて、文句の言いようがない。
「先輩、私をくいしんぼキャラみたいに言うのやめてくれます? 私は大食漢じゃないんですから」
「食いしん坊だとは思ってない。でも、もうちょっと食ったほうがいいんじゃないのか? 椛って、思ってたより貧弱だよな」
「ひ、貧弱……。昨日は重すぎって言ったくせに」
「あれは冗談だ、それぐらい気づけ」