ETERNAL CHILDREN 2 ~静かな夜明け~
一方、シイナは驚いて自分を凝視しているフジオミを見返すことも出来ずにいた。
だが、フジオミが動かないからと自分が今更引くことも出来なかった。
この胸の苦しみを、いつまでも抱えてなどいられない。
こんなに、今も立っていられないくらい苦しいのに。
「自分でも、おかしいと思ってる。生殖能力もないくせに、欲求だけがあるなんて。でも、ごまかせないの。私に、そんな権利なんてないけれど、もしあなたが私のことまだ愛してくれているなら――」
「今までも、これからも、ずっと愛してる」
強ばったようなフジオミの声に、シイナはゆっくりと彼へ視線を戻した。
フジオミの表情は、心のうちの葛藤を押さえつけているようにかすかに歪んでいた。
「でも、君のそれは気の迷いだ。きっと君は後悔する」
彼は知っている。
肉欲と愛情は必ずしも同じにはならない。
以前の彼のように。
フジオミは愛しているから彼女を欲していても、シイナは愛しているから彼を求めているのではないことをも。
「しないわ。もししても、それは後のことよ。今はしない。お願い――」
シイナの潤んだ瞳に見据えられ、フジオミは逡巡した。
だが、やがて静かに、そしてためらいがちに手を伸ばした。
シイナの頬に触れて、引き寄せる。
受け入れられた安堵とともにシイナが瞳を閉じた。
「――」
二人の唇が重なる。
触れた瞬間、初めてくちづけを交わすように、互いの身体がおののき、震えた。
重なったままの唇。
それだけで、言葉にならない喜びが互いの内に沸き上がる。
フジオミは唇を放して、シイナを見た。
目を閉じて、大人しくしているシイナの表情には嫌悪や恐怖はどこにも見られなかった。
安堵して、フジオミはもう一度唇を重ねて、そっと開かせた唇の間に舌を滑り込ませた。
いつもは無反応なシイナが、同じように舌をぶつけてくる。
その感触に、フジオミは常になく気持ちが高ぶるのを感じた。
初めは穏やかなそれが、次第に深く執拗に繰り返される。
一度触れてしまえば、もう自制は聞かなかった。
フジオミは従順に応えてくるシイナを激しく求めた。
「シイナ――シイナ」
濡れた床に縺れるように倒れこむ前に、フジオミはいささか乱暴にシイナの衣服を取り去り、その白い胸に顔を埋めた。