白銀の女神 紅の王(番外編)


最初にハッと我に返って口を開いたのはブルームだった。



「ばばば馬鹿!誤解を生むようなことを言うんじゃない!」


ブルームはやけに焦っており、口の端をピクピクとひきつらせながら不自然に笑う。

そして、バッと勢いよくこちらを向いたかと思えば赤くなった顔でこちらを見て訴える。



「綺麗な髪っていう意味だからな!」

「はい、分かっています」


必死なその姿が面白く、クスクスと笑って答えた。

ブルームは罰が悪そうに口を噤み、力が抜けるように深々と溜息を吐いた。




「それはそうと、もう動いていいのか?」


話題を変えたブルームに「はい」と答える。




「熱も引きましたし、これ以上横になっているわけにはいきませんから」

「気をつけろよ。熱はぶり返すことがあるからな」


私とブルームのやりとりにニーナや子供たちがニヤニヤと笑うが、みんなが思っているような色事はない。

ブルームは純粋に心配してくれているだけなのに失礼だわ。

そう思ってニーナを窘めようとした時、表の方から甲高い声が聞こえた。




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