白銀の女神 紅の王(番外編)
「やッ…!」
突き飛ばされたノーラはブルームの方へ倒れ込み、私は男の腕の中へ引き込まれる。
「なんてな。これじゃ俺の気が済むかよ」
後ろから抱き込まれ、男の湿っぽい息が耳にかかる。
意図を以って体を這う男の手にゾクリと体を震わせ、硬直する。
正面に回って私の顔を覗きこんだ男二人の顔には喜色を浮かべる。
「お友達もなかなかの美人じゃないか」
伸びてきた手にギュッと目を瞑るが、男の手が伸びたのは頭を覆っていたフードだった。
しまったと思った時には既に遅く、フードが取られ、銀色の髪が露わになる。
男たちは一瞬息を飲んだが、馬鹿にしたように笑い始めた。
「銀色の髪か。国王の寵姫にでも憧れてんのか?」
「女は馬鹿だな。髪を染めたって国王には愛されないのにな」
「言えてる」
どうやら男たちは私が髪を染めていると勘違いしたらしい。
ガハハと下品に笑う男たちの声にブルームが小さな呻き声を上げて体を起こす。
「っ…お前たち……やめろ…」
眩暈がするのか、体を起こすのがやっとのブルームをノーラが慌てて支える。
「やめてやってもいいが、この女を返す代わりに、その女を差し出してもらうぞ?」
女なら誰でもいいってことね、なんて人たち。
男の言葉に軽蔑の気持ちが湧き上がり、捕まれた腕により一層の嫌悪感を抱いた。